第3話

「で、何悩んでんだ?」


「え?」


「菜々は分かりやすいからな。どうせ凪で悩んでんだろ?だったら1人でこんな所には来ない。」


この人は心配してくれているのか陥れたいのかよく分からない。


ただ、浦崎先生は浦崎君をとても大切に思っている。兄以上の感情で。


「……やっと自分の気持ちが分かっただけです。」


「気持ち?」


私は目の前のグラスの半分減ったカシスソーダを飲み干す。グラスを置くと左隣に座る浦崎先生を見た。


「私、浦崎君が好きです。」


そう言うと彼は一瞬固まる。

そして少し俯いて薄く笑った。


「それ……俺の前で言うか?宣戦布告じゃねーの?」


「言っておきたかったんです。」


「へぇ、じゃあもう凪から逃げないんだな?」


「は、はい。」



そう返事したけど私を見る浦崎先生の表情は綺麗だけど怖いと思った。

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