第78話

私がどうして良いのか分からないでいるとクスクスと頭の上の方で浦崎君が笑い始める。


「な、なんですかっ、浦崎君早く眠ってください。」


「眠れるわけないよ、菜々がゴソゴソ動くから変な気分になる。」


動いている自覚はないんだけど。

思わず顔を上げる。すると浦崎君と目が合った。


ち、近い!

直ぐに視線を落とす。

すると浦崎君は片手で私のパジャマのボタンを1つ1つ外していく。

普段意識しないボタンの擦れる音が響く。


息を呑んだ。

滑るように彼の指先が肌に触れるから目眩がしそうになる。

この部屋に入った理由が今わかった。

私、浦崎君に触れて欲しかったんだ……。

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