Lovesick 18
第51話
「菜々、」
浦崎君が私の名前を呼ぶから視線を合わせる。
すると唇に彼の唇の感触。
あ……別れるわけじゃなかったんだ。
私、浦崎君といつでも離れられると思っていたけど……もう涙が出るくらい無理だったんだ。
「凪……、」
つい出てしまった彼の名前。
浦崎君はちょっと驚いた表情をする。でもすぐ微笑んだ。
「やっと呼んだ、俺の名前。初めて菜々と抱き合った時何回も名前呼ばせたんだよ。」
「え?」
「菜々は抱き合っている間ずっと俺の事凪、って呼んでたよ。でも目が覚めると名前どころか俺すら覚えていなくて……。」
「ご、ごめんなさい。」
本当にあの時の記憶は今でも思い出せなくて。
彼しか知らないあの夜のこと。
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