第50話

私は立ち上がりスーツケースを持つとドアの近くに進む。

だけどそこには浦崎君がいて。


「まさか、別れるってことなの?」


え?朝からの流れだとその話しかないか、と。


「……そういう意味で言われたんだと思いました。」


「うっそ!ないないないない!」


浦崎君はそう言うと私からスーツケースを奪い取る。


「う、浦崎君?」


「いやー、もう怖いから菜々の思考。絶対ないから、それ。だから泣いてたのか。」


そう言うと彼はため息をついた。


「俺が菜々と別れるわけないでしょう?あーもう俺熱出そう。」


「え……でも。」


「悪いけどマンションに戻るのナシね。」


え……無し!?


「今日が腹腔鏡下のオペで良かったよ。コレが心外のオペだったらこんな時間に帰ってないから破局まっしぐらだったわけじゃん。」


「浦崎く……っ、」


彼を呼ぼうとしたら抱きしめられてしまった。

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