第69話

チームリーダーの山本さんにそんな事言われるなんて思いもしなかった。


「彩さん助けてー、コレPDFに出来ないんだけどなんでー。」


藤田先生は私が対応している先生の横入りをしてくる。

彼女は小児麻酔科を専門としている。


「藤田先生割り込みダメですよ……、」


「学会が近いの。なのにまだまとめきれていないんだから。」


そう言って藤田先生は私の横に立つ。


「浦崎先生は今日は手術室担当よ。」


「えっ、……だ、だから何ですか?」


「今日中に終わるオペじゃないから会えないかもね。」


「先生、私は別にっ、」


動揺が隠せない。

今は浦崎君の事考えている場合ではない。

山本さんにもクギを刺されているし……。


「そうだった?チラチラ浦崎先生のデスク見てるから。そうか、私の勘違いなのね。」


藤田先生は笑いながらそう言った。


彼女はお見通しだった。

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