scene6

第22話

「葵!」


カンファレンスが終わり声の方に振り向くと同期の健人けんとが右手で合図する。


「健人、」


「見たぞ、ちゃっかり文月さんの隣座ってたな。」


「……別に。狙ったわけじゃない。」


そう言うと健人は笑った。


「で、少しは仲良くなれたのか?」


「まさか、」


その反対。

絶対嫌われた。

別に好かれたい、なんて……思っていない。


「ふぅん、じゃあ今晩残念会でもする?」


「は?なんで残念会なんだ?」


「だって興味持たれなかったんだろ?」


「だから、そういうのじゃないから。」


俺は少しイラついて吐き捨てるように言った。


健人は笑っていた。


「そんなイケメンでも思い通りに、ならない状況もあるんだな。気分が良いわ。」


そう言って俺の肩をポンっと触れると先に歩いて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る