第11話

「何度か挨拶だけはした事あるんですけど……覚えてないですよね。」


「え、あ、そうだったんですか。ごめんなさい、」


私はちょっと気まずくて視線を落とした。


「院瀬見くん、遙日はちょっと人付き合いが苦手なの。社会人としては致命的なんだけど許して?」


隣で美希がフォローに入ってくれる。

8割ディスられてる感じは否めないけれど。


「じゃあ行く?」


佐々木さんはそう言って鞄を持つ。


美希と院瀬見くんは頷く。


「遙日今日宿直だったのね。」


「そうみたい、カンファレンスに戻ってボード見たら私の名前で、うっかりしてた。」


「それじゃ文月さん後は宜しく。次回は一緒に行こう。」


佐々木さんは手を振ってドアを閉めた。


私は少しの間その場から動けないでいた。

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