scene3

第10話

初めて至近距離で彼を見た。


目の前のこのヒトが院瀬見葵いせみあおいさんなのか。


「失礼します……、」


彼は小声でそう言って軽く頭を下げた。


オトコのヒトなのに美肌に驚く。

羨ましい。

なに、そのまつ毛長い、その色素薄そうなブラウンの髪は……、


「ちょっと、遙日っ!見すぎ!院瀬見くん固まってるじゃない。」


美希にそう言われて我に返る。


「あ、ごめんなさいっ、」


まずい、見とれてしまっていた。


「院瀬見くん、彼女は文月遙日ふみづきはるひ。私と同期で友達なの。」


「あ、知ってます。SEの先輩ですから。」


え、私のこと知ってたの!?


彼の言葉に少し動揺してしまった。

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