12

「見たかったなぁ~、澪先輩の全力勧誘。あたしまだその時、梨子と話したこと無かったもんね。もったいなかった。

てか、何で澪先輩は、そんなに梨子がよかったんだろうね?」



帰宅部の友理奈は帰り支度をすっかり済ませて、私の隣の席にかばんを置いた。



「あとで聞いたんだけどね、私と知宏が付き合ってるんだと思ったからなんだって。すでに彼氏がいる子なら、浅野先輩に騒がないだろう、って」


「あー、そうだね。あたしも最初は、梨子は知宏くんと付き合ってるんだと思ってたよ」


「違うよ、幼なじみ」



付き合っていないし、だからといって浅野先輩に騒ぐつもりもない。


だって、私はあの人のことが……。



「でもいいじゃーん、サッカー部。あの浅野先輩でしょ? イケメンがサッカーとかやばいよね。そんなん、好きになるよね~。うらやましいよ」


「ないよ、ありえない。好きになんてならない」



少し強めの私の否定に、友理奈がキョトンとする。


そして、すぐに諦めたようにため息をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る