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グラウンドを見ると、練習は再開されていた。
知宏もグラウンドに入るみたいだし、私は帰――
「あなたも、よかったら」
「……え?」
明らかに私に向けられた澪先輩の声色に、まぬけな声を漏らしてしまう。
「いえ、私、女なのでサッカーは……」
「うん。だからね、マネージャーやってみない?」
「はい?」
マネージャー?サッカー部の?
え、何でいきなり?
もう一度グラウンドを見る。
男子ばかり。
……うん、当たり前。
「い、いえいえいえ!そんな、無理……っ」
顔の前で手をブンブン振って断ろうとすると、澪さんはパンッと手を合わせた。
「お願い、困ってるの!マネージャーってね、今私ひとりしかいなくて。すっごく大変なの」
「いえ、あの、私じゃなくても、なんかマネージャーになりたそうな人いっぱいそこに……」
こんな、今初めてサッカー部を見に来ただけの私を誘わなくても、
それこそあの浅野さんっていう人に騒いでいた女子が、両手で足りないくらいいるのでは。
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