第285話

「なんでしょうか」



「その様付け、止めてくれない?」



「それは…」



「もう……叶斗はいないんだよ。普通に話してもらって結構」



カチカチ、と無意識にネックレスを鳴らしながら言う。



その行動に朱羽の視線が私の首に向く。



なぜか朱羽の視線にイラつきが募った。



「…あんたの主はもういないんだっつってんだろ!?」



声を荒らげる私に、少しだけ驚いていた。



「前みたいに普通に話せっつってんの!怒る奴なんていねぇんだから普通にしろよ!」



怒鳴っても朱羽からの返事はない。



気まずくなって私は朱羽から視線を外した。



暫くして、小さな声で聞こえてきた。



「……わかった」

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