第282話

「朱羽じゃない、朱羽じゃないんだよっ…叶斗がいい、叶斗じゃないとダメなの……っ」



それを朱羽に言うのいけないことだけど、だけどあの日から私は立ち直れていない。



これからも叶斗の【死】を引きずって生きていくんだ。



押し潰されて、耐えれなくなる度に、朱羽に助けを求めて…。



「私は…叶斗様の代わりにはなれませんが、お傍にいることは出来ます」



「違っ…」



「私に出来ることがあれば、申し付けください」



葬式は、記憶がない。



いや、そもそも叶斗が刺された後の記憶がない。



私を庇って刺されて……気がついたらベッドで、隣に純夜。



全てが終わった後だった。



「朱羽じゃ、……っ、代わりになんて、なれないよ…」



「わかっています」



「なら、どうしてっ…」






「私は……千花様に生きて欲しいからです」

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