第281話

ポタポタと、涙が落ちる。



この手紙は、自分は死ぬ…と書かれているようなもんで。



「ひっく……なんでっ…、なんで叶斗が死ななきゃ、なら…っ、なかったの!?なんで私じゃっ……ない、の!?」



手元の紙は、グシャグシャになってもそんなのお構い無し。



「置いてかれる…ッ、身にも、なってよっ!?」



叫んだところで、叶斗が返ってくるわけがない。



置いていくよりも、置いていかれる方が辛いんだよ…。



「千花様……」



「なんで……独りなの、ッ…」



私がこの世に生きていることが、いけないって言うの?



叶斗と出会わなければ、叶斗は死ぬこともなかった。



泣き続ける私に、朱羽が抱きしめてきた。



「……私が、ずっとお傍にいます」

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