第269話

目覚めた私は窓辺に座り外を眺める。



時刻は真夜中。



「千花様、身体が冷えますのでベッドにお戻りになられたらどうですか?」



「ここがいい」



「ですが、風邪をひかれたら困ります」



「うん…」



朱羽の言葉は聞き流す。



旅行から帰ってきた日とは態度が大違い。



今日は気分が乗らない。



「千花様…」



「……ぁ、雨だ」



黒い雲があったからいつ降るのかな…なんて思ってたら今降ってきた。



次第に雨足が強まる。



雨の匂いにつられて、口角が上がる。



「外………行ってくる」



「私もお供致します」



「いい。満足したら帰るから」



まだ寝てる叶斗の元へ行き、言う。



「少ししたら、帰ってくるね」



頬にキスをして部屋を出る。






* * *






あと4日で叶斗の誕生日。



なんで先に起きたんだろう。



なんで外に出たんだろう。



このままずっと眠っていたかった。

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