第255話
* * *
「千花、もういいぜ」
旅館に着くなり、周りの目の怖さに叶斗に抱えてもらって入った。
「……広い」
深く被っているフードを少し上げ、部屋の中を見渡す。
2人で泊まるには余る広さだ。
「何泊するの?」
「さぁ?居たいだけいれるぜ」
「何それ、そんな事普通出来ないじゃん」
予約は叶斗がしてくれてるはずなのに、何も知らない顔をされ笑っちゃう。
「俺だからそんな事出来んだよ」
久しぶりに撫でられる叶斗の手に、懐かしさを覚える。
こうやって、ずっと楽しく幸せに叶斗と過ごしていたい。
疑う気持ちが無くなったわけじゃないけど、前みたいに少し笑うことができた。
「観光するか?それとも休むか?」
「休みたい、疲れちゃった」
「ん。時間は千花の体調次第だろうから、ゆっくりしような」
「…うん、ありがとう」
普通なら観光のところ、身体が言う事を聞かないため楽しめるものも楽しめなくなってしまう。
そんな私を捨てない理由を聞いたところで、同じ回答しか返ってこないだろう。
傍にいれることを信じて…。
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