第252話

「一緒、行きたいよ…」



「あぁ。他にはないか?」



言っても大丈夫だろうけど、悲しませないか不安だ。



1度開いた心を閉じるのは早いけど、叶斗だからなのか開くのも早かった。



「今年も叶斗の誕生日、私の体調もあって何もしてやれないかもしれないの…」



「そんな事かよ。なら今回行く旅行で十分だ」



「あと、あとね、今はまだ入れなくていいんだけど、左の火傷跡に全て刺青入れたいの」



そう言った瞬間、叶斗の顔が険しくなった。



「それは…顔も、含まれているのか?」



優しく私の左頬に触れながら聞いてきた。



「うん、そうだよ」



「そうか…」



「嫌、だ?それなら入れないけど…」



やっぱり顔に入れるのは抵抗あるかな?



見た目も今以上に醜くなるし、もう顔見たくないなんて言わない?



私の思いを他所に、そんな言葉を言ってくれるなんて思わなかった。



「…もっと綺麗になるな」



「……ぇ」

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