第251話

海に行った日から、叶斗が家にいる時間が増えた。



今日から12月。



叶斗の誕生日が近づいてくる。



今年もなにもしてあげられないだろうな。



何かしたいって思っても、叶斗が何して欲しいかわからない。



私にお金があるわけじゃないから、高いものも買えない。



全て叶斗のお金で支払ってもらってるから。



「千花、ただいま。今日の体調は?」



「おかえり。いつもと変わらない」



こうやって私の体調を聞いてくるようになった。



「5日くらいから数日、群馬の方行かねぇか?」



「…また突然何?」



家にいる時間が増えたと思ったらそれ?



浮気を隠すために私に時間を割いているとしか思えなくなる。



「血だらけで帰ってきたあの日、大きい仕事が終わったし時間できたから一緒に行きてぇなって」



「隠すためじゃなくて?」



「隠すも何も、そもそも情報集めで会っていただけで、何度も言ってるが俺は千花しか見てねぇよ」



「そう……」



叶斗の言葉に嘘はないと信じたいけど、信じきれない自分がいる。



「体調があまり良くねぇなら行かねぇけど、どうする?」



「私で、いいの?」



「信じられねぇのは分かるけど、今まで俺がよそ見なんてしてきたか?俺は千花だけだし、不安なら何度でも言う」



よそ見は…していない。



それは言い切れる。



「もう一度、お前からのわがままが聞きてぇよ。俺に心開いてくれたんだ、お前の気持ちが知りてぇ」

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