第245話

11月下旬の海は寒い。



私のペースに合わせることもなく、ズンズン歩いていく叶斗について行くので精一杯。



「はぁ、はぁ、はぁ」



なんでそんな早く歩くの?



私がいることわかってるの?



久しぶりの外の空気と、叶斗の歩くスピードに着いて行けなくて膝から崩れ落ちた。



「ぁ、悪い千花」



「私だって、わかってるの?他の女じゃ、ないんだからゆっくりあるってよ…」



「悪かった…」



「他ならいいけど、私の体調考えてって言ったじゃん…」



他の人より普通の生活ができない私に、普通の行動は難しい。



「なんで、私なの?」



「千花は、俺の女だろ」



「だから?他に女作ってるくせによく言うよね」



「作ってねぇだろ!」



大声で言われても、驚かなかった。



雪野怜は違うって言いたいの?



どうせ毎日会ってるくせに…。



それを隠そうと言ってきたんじゃないの?



「ならいきなり海行こうなんて言わないよね?」

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