第244話

車の中の空気は最悪。



私から行きたいなんては言ってないし、そもそも前からギスギスしてるような感じだから、話す事なんてないのかもしれはい。



叶斗と出会う前に感じた『無』の感情が思い起こされる。



流れる景色は色がない。



どれも同じにしか見えないし、残る景色なんてない。



「着いたぞ」



ドアを開けて外に出る叶斗を眺めていると、私の方も開かれた。



「一緒来い」



その目には有無を言わさなかった。

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