第243話

* * *






叶斗が海に行きたいと言ってきて、その後行く日が決まった。



それが今日だが、ろくに会話をしていない。



「準備できたか?」



「うん」



「行くぞ」



そう言って差し出された手を掴もうとはしなかった。



私の行動に手首を強く掴んできた。



「そんなに嫌か?」



「…嫌じゃ、ないけど」



「けど?」



「……私は大丈夫だから」



「俺は大丈夫じゃねぇ」



「そう…」



それしか言えず、引っ張られるままついて行った。

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