第234話

チョーカーが外されたみたいで、叶斗が口を開け、首に噛み付いてきた。



それは、吸血鬼みたいな、鬼みたいな…魔物に喰われるような顔だったのは分かった。



チクッと、まだ可愛い痛みの方が良かった。



そんな甘いわけが無い。



私の皮膚ごと食べるのではないか、噛みちぎるのではないか、そんな痛みだ。



自分でも分かるほど、血が流れていた。



「い…た……い………」



私の声に、首から顔を離し、また見下ろす。



だけど、触れてきた手は優しい。



私の眼帯を取り、左目にキスをする。



「俺の、モノなんだ……俺以外に愛想振りまくな…………俺だけを…愛せ…」



自分が付けた傷に手を当てながら…当たり前の事をささやいている。



けど、私の意識はその言葉を捉えることは出来なかった。

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