第231話

「……終わったんじゃ、なかったの?」



「考えてみろ。瑞世壮みてぇなただの一般人が銃なんて所持してるかよ。誰かから貰ったに違いなかったんだ、それが雪野怜だった」



私の頭には?が浮かんだ。



雪野怜って誰?



「雪野はお前も知ってるやつだ」



「私が知ってる女なんていなくない?」



「前に1度……俺にキスしてきた女だ」



その瞬間耳を疑った。



だけどあんな女が銃を持っているなんて考えられなかった。



「…ぇっ、でも、なんでそいつが銃持ってるの?叶斗がまとめてる組織となにか関係あるの?」



「元々雪野は裏の方じゃ有名な組だ。俺ら亜御那社と同じように表じゃ会社経営してるが、裏は俺の組と対立関係にあった」



「どういう、こと…?」



「それが、俺らの組の傘下に入ったんだ。それから暫くして俺はお前と出会った。俺はお前を見た瞬間、俺のものにすると決め、声を掛け、手に入れた。それがいけなかった」



私は黙って聞いていた。



「特定の女を作らねぇ俺が、女を作ったことで、俺に好意があった雪野怜が、俺とお前の仲を離すように動いたんだ。そこでお前の過去を調べ上げ、瑞世壮が引っ掛かった」



「……」



「雪野は俺を、瑞世はお前を手に入れようと利害の一致で手を組み、あとはお前が散々な目にあって…それで」



「それで今もずっと会っている、と…」



言い淀んだ叶斗にそれを言えば、罰が悪そうな顔をされた。



「私を生かす理由は?」



「俺には、お前しかいねぇんだよ……」

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