第229話

暫くベッドの上で無になっていると、キィィーと扉が開き叶斗が入ってきた。



「………起きたか」



視線だけ叶斗に向ける。



「撃って、悪かった」



謝られても、何も思うことはなかった。



ベッドまで来た叶斗に向けて言葉をかける。



「叶斗は………叶斗は、私が笑っていれば、笑ってくれる?」



どんな表情で叶斗を見たのだろう。



叶斗は困惑してた。



「私がここにいて、ずっとずっと叶斗の帰りを待って、笑顔で『おかえり』って言えば、問題ない?」



「千花…」



「それならちゃんと笑顔で待ってるよ?私、叶斗の機嫌損ねたりしないよ?いい子で待ってたら、いつか教えてくれる?」



縋るためか、叶斗の袖を引っ張っていた。



叶斗の瞳に映る私は、笑っていたけど…笑っていなくて……。



少しだけ自分の方に、袖を引っ張る腕を引き寄せる。



「叶斗」



「…あぁ」



「…叶斗」



なんで、何も言ってれくれないの?



なんで黙ってるの?



もう教えてよ。



「叶…斗」

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