第228話

千花side




目を覚ますと、カーテンの隙間から光が入っていた。



朝なのか、昼なのか、はたまた夕方か。



上半身を起こして、いつも通り辺りを見る。



視界に入った両手首には黒のリングが付いている。



昨日撃たれた足を見ると、両足首にも同じ黒のリングが付いていた。



首に加え、手首と足首にもか…。



足に巻かれている包帯を取る。



また傷が増えちゃった……。



「キズ、だらけ…」



ぼーっとしながら、傷口を摩る。



私が、感情のまま叶斗に接していた結果が、これなのかもしれない。



自分のことしか考えていない、馬鹿な女。



叶斗から匂った香水からもわかる、私より美人で傷なんてひとつも無いような女。



どっちがいいかなんて、言わなくてもわかる。



だからこそ、叶斗がなぜ私を殺さないのか疑問に思う。



「叶斗…」



小さく呼んだ声は、この部屋の静寂にかき消された。

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