第222話

顔を上げて朱羽に助けを求めたところで、何も変わらないのに。



掴んでいる手に、腕に力が入る。



「私と、叶斗を…っ、助けてよ」



ボロボロと涙が零れる。



「どうして他に女がいるのに隠してるの?どうして何も言わないの?……ただ傍にいたいって、私だけを愛して欲しいって何度も言ってるのに……私に飽きたなら殺せばいいじゃんっ!」



声を荒げて、今まで何度も言ってきた言葉を言う。



「……千花様」



私の名を呼び、私から目を背ける朱羽の行動により一層声を出す。



「朱羽ッ!!どうして私を見てくれないの!?目を背けっ…」



言い終える前にありえない音と共に、左足に痛みが走った。

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