第223話

私はゆっくり痛みのある方へ視線を移す。



そこに映ったのは止まることのない、鮮明な血。



傷口に手を置いて流れ出る血を感じる。



撃ったのが誰かなんて想像つく。



そのまま視線を上げると、あぁやっぱり…なんて思った。



目に入ったのは銃を持つ叶斗の姿。



もう私にも容赦なく撃てるんだね。



なら何でさっさと殺さないの?



「千花様、すぐに…」



「朱羽、黙って」



「は、はい……」



涙が一瞬にして止まる。



風邪でだるい身体も、何故か今は大丈夫。



久しぶりに血を見て血圧上がったか?



そんな顔して、本当に心込めて言えば殺してくれそう。



視線が合っても、叶斗から声をかけてくる気がしなかった。

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