第215話

「ただいま、千花」



すりすりと、私の頬を撫でて言う。



帰ってくると私がここにいることを確かめるかのような行動をされる。



「おかえり、叶斗」



頑張って笑顔で返す。



カチカチと爪で鳴らされるチョーカー。



なんか…もう私を見てないのではないかと思う。



「シャワー浴びてくる」



「うん」



今日も叶斗じゃない違う人の匂いがする。



だけど、ほぼ毎日同じ匂い。



叶斗は誰と会っているのだろうか…。



横目で着替えに行く叶斗の背中を見る。



「…はぁ」



信じられなくなるのも時間の問題なのかもね…。

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