第213話

* * *






少しだけ前の私に戻ってしまった。



それは私にとっては良かった事だけど、叶斗にとっては悪かったこと。



心に蓋をすることで、ご機嫌取りをしなきゃいけなくなる。



その『私』は、叶斗にとって私自身の思いや考えがないことが嫌いなんだと思う。



ただ相手が返してきて欲しい答えを私が考えて言うだけ。



自分の意思とは関係なしに、少しでも答えに近づけるように考える。



でも、また蓋を閉じさせたのは叶斗なんだよ。



もう一度、開けさせてよ…「私の心」を。

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