第211話

また自分の感情に蓋をする時がきたのかもしれない。



「朱羽と、2人で外に行って…ごめんなさい」



叶斗がこんな状態なのに、やばいかも、と自分を思った。



「叶斗…私何処にも行かないから……安心して、いい、よ?この部屋から出ることなんてないし、大人しく待ってるね?」



優しく耳元で言う。



大丈夫…私は大丈夫。



頭を優しく撫でて、叶斗を、自分を落ち着かせる。



「叶斗?」



名前を呼んで反応を見るが、動かない。



耳を傾けてみると、寝息が聞こえた。



そのままベッドに寝かせ、私はと言うと、少しだけ離れてベッドに座る。



頬に付けられた傷が、昔を思い出させる。



いい子にしていたら、誰も傷つかないよね?



私が、ちゃんと叶斗の言う事を守っていればこんな風にはならなかった。



頑張って、笑顔でいよう……。

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