第209話

私の頭に?が浮かんだ。



なぜそんなことを言うのか。



だって、拾われたあの日から私は『叶斗のモノ』だ。



叶斗が死ねば私も死ぬ。



「か、なと?」



私の声に反応はない。



確かに視線は合っている。



それなのに、なぜか私を見てくれない。



暫くすると、キリキリと頬に爪を食い込ませてきた。



その手にそっと、自分の手を置く。



「痛いよ、叶斗」



目を見て訴えても、表情1つ変わらない。



少し怪訝な顔をする私に、叶斗もやっと表情を変えた。



「お前は…俺を捨てるのか?」



そう言って、叶斗の瞳から涙がこぼれた。

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