第201話
「行先は何処にしますか?」
「海…がいい」
「では、近くの海までお送り致します」
窓の外を眺めては、さっきの叶斗の姿が思い浮かぶ。
最近はご飯も一緒に食べれないし、もし食べれたとしても着信音で一緒にいる時間を遮られる。
その度に、まただ…何してるの?なんて聞けない言葉が頭を支配する。
その後、1人で食べるご飯は不味くて食が進まない。
もし今運転してるのが朱羽じゃなくて叶斗だったらどんなに幸せか。
また人を信じられなくなる時がすぐそばまで来ている。
「ッ…」
小さく嗚咽が出て、涙が零れる。
我慢していたものが、今になって溢れ出す。
「…千花」
「ご、ごめんね朱羽…私は、っ、大丈夫だ、から」
「泣き止めとは言わねぇから、泣きたいだけ泣いとけ」
朱羽の口調が普通に戻った。
こういう時の朱羽は、少し怖い。
何考えているのか、私をどうしたいのか…。
だけど今は朱羽の言葉に甘えて、泣きたいだけ涙を流した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます