第197話
私の言葉を待ってくれている叶斗に、ゆっくり話そうとした。
そう思ったけど、頭とは違う行動をしていた。
「ぃ、嫌!止めて!!!」
パシン!と音を立てて、頬にある叶斗の手を振り払う。
「千、」
「私は大丈夫なのっ!何も言われてないし堕ちてなんていないの!だから何も言わないでよッ!」
大声を出した瞬間、ハッと自分が何言って叶斗に何したか気付く。
「い、や…叶斗っ、捨て……ない、でッ」
自分が何したか理解した瞬間、不安が襲う。
「叶斗、叶斗ッ」
何も話してくれない叶斗が怖い。
服を引っ張り、何とか喋らそうと頑張ってみるも、見下されているのではと思うような表情をする。
嫌だ、そんな顔私に向けないで……。
叶斗がいなくなったら、私は生きていけないの。
「………千花」
私の名前を呼んでくれた叶斗に少しホッとする。
「本当にごめんな。俺が苦しめて悪い…」
ぁ……私が叶斗を苦しめているのかもしれない。
いつになったら傍に居れる、いつになったら仕事場連れて行ってくれる…自分ばっかで叶斗の気持ち、思いを考えていなかった。
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