第196話
目を合わせた私はハッとする。
これは言わなきゃ逃れられない。
だけど、言葉が出てこない。
結紀と龍の言葉が頭を支配する。
「言え」
「だから……私は、大丈、夫、なの」
頑張るから…頑張って笑顔でいるから………だから、捨てないで。
「大丈夫なら、なんで泣いてんだよ」
親指で拭ってくれる涙。
「泣いて…な、い」
「俺は嫌わねぇし、捨てねぇよ」
何度も聞いた言葉。
私を安心させるための言葉なのに、何度言われても信じきることができない。
「言ってみろ。俺はお前が堕ちていく方が嫌だ」
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