第195話

千花side




目覚めた私は身体にかかっている重さに、抱きしめられているのだと気付く。



「叶斗だ…」



まだスースー寝ている叶斗に声をかける。



「おかえり、叶斗」



久しぶりに一緒のベッドで寝たのか。



私は叶斗の唇にチュッ…とキスをする。



そしたら片目を開けて言われた。



「可愛いことすんなよ」



まさか起きているとは思わず、ビックリした。



「へへ…したかったからしたの」



「そうか…」



私の表情から、おかしい事に気が付いているみたいだった。



2人してダルい身体を起こす。



「叶斗、あのねあのね、私少しだけご飯食べれるようになったの!また叶斗と一緒にご飯食べたくてね、」



笑顔で話す私に、叶斗が核心を付いてくる。



「お前…なんか言われたか?」



一瞬時が止まったみたいだった。



だけど、私は頑張って答える。



「なにも、言われてないよ?どうしたの、叶斗」



そう言った声は震えていた。



動揺が隠せない。



「隠せると思うなよ…堕ちてるだろ、千花」



さっきまで普通だったのに、ピリッとした空気になった。



「私は、大丈夫…堕ちても、ないし…叶斗が、心配、する事も何も無かった、よ?」



必死で言い続ける私の頬に手を滑らせる。



「叶、斗」

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