第190話

低い声で話す純夜は初めて見た。



いつも私には優しくて、気遣ってくれる純夜が叶斗と同じく殺しそうな雰囲気を感じた。



「純夜?どうしてここに?」



「2人のとこ行くっつったっきり遅せぇから来た。自分の身体考えろよ、千花」



優しく頭を撫でて言われる。



口調は荒いけど、いつもの純夜だ。



「私は大丈夫だよ」



「大丈夫なわけねぇだろ。魁、千花を頼む」



「はい、失礼します千花さん」



ヒョイっと私を持ち上げて、歩き出す。



「純夜、私まだ2人に話したいことが…」



遠くなっていく純夜には私の声は届かない。



まぁいっか。



抱えられた私は魁の首に腕を回した。



「大丈夫っすか」



私の具合が悪いと思ったのか、魁が声をかけてきた。



「うん、私は大丈夫」



「そっスか」

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