第189話

ニッコリ笑った私を見て、2人とも顔を引きつらせる。



「2人とも、もう見張りしなくていいよ」



「は?」「え?」



「だから、見張りは終わり。純夜と魁がいれば十分なの」



この2人は私に必要ない。



「叶斗にも言っておくから、出てって」



「何故ッスか…?俺ら叶斗さんから」



口を開いた結紀を遮る。



「だから何?叶斗が言ったからなのは分かってるけど、私はもう2人を必要としてないの。そりゃ見張りが多い方が私が外に出る心配はないかもしれない。だけど純夜が来てくれたし、私は純夜のこと信頼してるの。だから帰っていいよ」



そう言った私に向かって、結紀が勢いよく走ってきた。



「てめぇっ!」



殴られるのなんて慣れてる。



だから私はその場から動かなかった。



殴りたきゃ殴ればいい、それで発散できるならましだ。



拳を振り上げ、殴りかかろうとした時、龍が止めた。



「止めろ。殺されるぞ」



龍の行動に疑問を持つ。



「ん?どうして止めたの?殴っていいよ」



「お前…誰だ」



未だ表情を変えない私に龍も殴りかかってきそうな顔をした。



「誰って酷いなー。殴って済むなら殴ればいいじゃない」



ニコニコ顔な私とは対照的な2人。



暫く沈黙が続く。



それを破ったのは純夜だった。



「お前ら死ぬ覚悟があってやってんのか?」

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