第186話
目を覚ました時、ここにはいるはずのない人がいて驚いた。
「…じゅ、んや?」
「目が覚めた?おはよ、千花」
「私……」
「魁から呼び出されてね、叶斗が帰ってくるまでいるよ」
右腕に違和感があり、視界に入るように動かす。
「栄養取ってないでしょ。暫く点滴で身体に入れるよ」
栄養…点滴……。
少しずつ顔が青ざめる。
嫌だ嫌だ嫌だ…こんなもの必要ないっ!
振り払おうとした腕を押さえつけられる。
「千花、俺の言う事聞いて」
「ヒッ…」
「生きてるだけでも奇跡だよ。叶斗には言わないから飯だけでも食べれるようにして」
「ぁ、やっ……違う、」
すぐ過呼吸を起こす。
身体が癖づいている。
「大丈夫」
ゆっくり身体を起こされ、抱きしめられる。
私を落ち着かせるために背中に手を当てさすってくれる。
「怒ってないし、千花を責めたわけじゃない。ゆっくり呼吸して」
「いや、だ……嫌だッ…」
「大丈夫。強く言ってごめんね」
暫く撫でられて、落ち着きを取り戻す。
「大丈夫?」
上から聞こえる純夜の声はとても優しい。
コクっと頷く。
「ごめんなさい…」
「謝んなくていいよ。俺の方こそ怖がらせてごめんね」
「純夜は、悪く、ない…」
私が悪い。
私がこんなんだから迷惑かけてる。
「千花、顔上げて」
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