第182話

叶斗 side




GPSで確認していたら、突然ブー、という音とともに今まで示していた位置が消えた。



「…は?」



すぐさま魁に連絡を入れる。



ワンコールですぐに出てくれるのは有難い。



『お疲れ様です、叶斗さん』



「千花、いるか?」



『はい、いますよ』



「チョーカー…どうした」



『……』



黙った魁に、怒気を含ませて言う。



「魁、答えろ」



『壊し、ました』



「そうか」



『はい』



少し沈黙があり、電話の向こうから千花の声が聞こえた。



『誰と電話してるの?』『叶斗さんっスよ』『叶斗?何で?切ってよ』



「魁、俺が信用してんのはお前だけだ。しっかり見張っとけよ」



『はい』



魁からの返事を聞き、切る。



切ってよ…か。



千花の状態を見たいが、あの様子だと相当やばいな。



「叶斗様、次の取引相手が到着しました」



「あぁ、すぐ行く」



終わらせなきゃならねぇな、千花の為に。

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