第180話

その言葉に、隣にいた龍が「そんなこと聞くなよ…」みたいな呆れた顔を結紀に向けていた。



「叶斗さんって口悪いし、態度もでかくて、俺には好きになる理由がわかんないっス。そりゃー尊敬はしてますよ。だけど俺が女なら叶斗さんは選ばないなって」



結紀の言ってることは正しいんだと思う。



私の前ではそんな面をずっとしてる訳じゃないし、女だからってのはある。



だけど、私はこう答えた。



「今の叶斗は…嫌いだよ」



思った回答じゃなかったみたいで、2人とも顔を見合せていた。



「今は、何を言っても……届かないから」



そこに丁度よく魁が帰ってきた。



「千花さん、これで大丈夫っスか?足りないもんあれば言ってください」



いつものチーズケーキに、今日は炭酸ジュースだ。



「ありがとう」



朱羽が魁たちにどこまで話しているのかわからないから、私が『私』じゃなくなったときにはどうしたらいいんだろう。



未だに自傷行為が完璧に止められたわけじゃないから、薬が欲しくなった?刃物が欲しくなったら?



怪奇な目で見てくるだろうな…。



食べ終わった皿を下げてもらい、また眠りについた。

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