第169話

「それは禁止されているはずです」



思った通りの答えが返ってきた。



「それに、本日は雨が降っています。例え許可されたとしても雨の中、千花様を外へは連れて行けません」



それはどういう意味だろう。



雨の日は、私は外に出ちゃいけないというのか。



「……わかった」






* * *






窓の外を眺めると、凄い勢いで地面に打ち付けている雨。



朱羽は15分置きに部屋に訪れる。



監視のためだろう。



その時間を狙って私は外へ出る。



「ウッ!?」



鈍っている身体に、左足の負傷で着地に失敗するが、幸い雨の音で気付かれていない。



叶斗にはバレるのを覚悟で足が向かう所へ。



バシャバシャ…と裸足で歩くには冷たい水。



多分朱羽が追ってくるだろう。



だけど、今の私は『私』じゃないから、自分が何してるのかよく分からなかった。

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