第168話

* * *






休むと言っていた叶斗は、あれから休むことは無かった。



それは私が言わなかったのもあるのかもしれない。



だけど良かったことがある。



叶斗がいなくて…本当に良かった。



「…ぁっ、うっ!?」



吐き出される胃酸。



頭痛に吐き気が治まらない。



それにたまに呼吸が出来なくなるくらい苦しくなることがある。



「ハァ、ハァ…ッ」



またあの苦しみを味わうのかと思うと、嫌になる。



「…叶斗様、お呼び致しますか?」



その問いに首を横に振る。



「出、てってっ…」



絞り出した声で言う。



「何かありましたら…お呼びください」



そう言って、部屋を出て行ってくれた。



暫くすると落ち着き、扉の向こうにいる朱羽に声をかける。






「朱羽……外に出して」

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