第153話

叶斗side




「千花、いい子で待ってろよ」



千花の額にキスを落とす。



「うん」



本当は千花も連れて行きたいが、多分また危険な目に合わせ出しまうかもしれない。



だから、家で大人しくしていれば千花に危害が加わることはない。



「朱羽、気をつけろよ」



「はい」





* * *






車で県外まで向かう。



「尻尾掴めたか?」



運転中の朱羽に問う。



「いえ、何も手がかりはありません」



「そうか」



ぼーっと窓の外を眺める。



映る景色は忙しない。



「なぁ朱羽」



「はい」



「いつになったら…静かに暮らせんだろうな」



答えが返ってくるはずもなく。



「普通の人だったら、千花をもっと幸せにしてやれたよな」



こんな職業じゃなきゃ、傷つけずに傍に置いておけた。



「帰る前にリスト用意しろ」



「かしこまりました」

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