第150話

叶斗の元へ行こうと台から降りて歩こうとしたら、膝をついてしまった。



やはり、少しずつリハビリをしてても、1人で歩けない。



それを見てか、純夜が手を差し伸べてきた。



「大丈夫?」



「うん、叶斗の所までちょっと手繋いでいい?」



「あー…まぁいいけど、怒られるよな、これ」



「そんなに叶斗に怒られたくない?」



クスクス笑ってしまう。



純夜の方が年上なのに、少し苦い顔をされた。



「まぁ、あいつ怒った時は本当に怖いからさ。俺殺されるかも?」



「ハハッ、そんな事ないよ。大丈夫。私が言うから」



笑える自分に驚く。



これなら、前の私に戻れるかもしれない。



純夜に支えて貰って叶斗の元へ。



「おい、なんで純夜とそんな事してんだ」



「支えて貰ったの。叶斗見てよ!眼帯も黒にしてもらったの。どう?」



純夜から手を離し、今走れる速さで叶斗に駆け寄る。



「お前走んなよ。危ねぇだろ?」



転びそうになった私を受け止めてくれた。



「えへへ」



笑う私を優しく見つめてくれる。



「ありがとな、純夜」



「どういたしまして」

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