第147話

「純夜」



「もう来たの?早いね」



叶斗に抱えられたまま、紫波さんとは目を合わせなかった。



この傷を見せたくないと思ったからだ。



「準備終わったら来るからくつろいでて」



「あぁ」



ソファーに座った叶斗だけど、私は抱きついたまま。



その行動に叶斗が聞いてくる。



「どうした?」



「……このキズ、見せたくない」



「純夜は酷いこと言わねぇよ。千花も知ってるだろ?」



「だけど…」



「その服着てる時点で見えてるところは見えてんだ。何も心配いらねぇよ」



それはそうだ。



首周りや足は少なからず紫波さんも目にしている。



それでも何も言ってこなかった。



「……汚いって言わないかな?」



「バカか。そんなこと言えば俺が殺す」



暫く抱きついていると、紫波さんの準備が終わったらしく、声がかかった。



「叶斗ー、準備終わったよ。千花さんは大丈夫?」



「あぁ」



私も抱き抱えて、部屋まで運んでくれた。

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