第133話

千花side




私が目を覚ました時、部屋には誰もいなかった。



「朱羽…?どこにいるの?」



当然、呼んでも何も反応は無い。



起き上がり、歩こうと思ったら歩けなくその場に崩れる。



「………歩け、ない」



叶斗に蹴られた腹が痛い。



座ったまま前進し、私は寝室から出る。



壊したドアはまだ直っていない。



破片もそのまま散らばっている。



叶斗の部屋に広がってたのは、前にも見た光景…全て家具が破壊されていた。



ガラス破片がそこらじゅうにある中、私は進めなかった。



代わりに近くに鋭く尖った破片を手に持つ。



やるなと禁止されている行為を再び始める。



掌から流れる血が、臭いが鼻をくすぐる。



私が求めていたもの…。



ペロッと自分の血を舐める。



美味しいなんて思ってしまう…到底人の持つような感想じゃない。



少しずつ赤い水が広がる。



だけど、自傷行為も疲れて放心状態になる。



何分、何時間その場にいたのだろう。



時間感覚もわからなかったが、1つだけ分かるものがある。



血が乾いた。



鮮やかな色なんてしてなくて、濁ってて気持ち悪い。



もう一度紅い血を見るために切りかかろうとした時、朱羽の声が聞こえた。



「千花様、お止め下さい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る