第132話

身体を抱え、額に手を置けば熱はまだ下がっていない。



朝出て行く時、気付いてやれなくてごめんな。



寝かせるためにベッドに運ぶ。



初めて少し本気で千花の腹に蹴りを入れ、頭から血を流させた。



サラッと、少し苦しそうな表情にかかる髪に指を通す。



本当にやっている事が壮と変わらない。



薬指も、チョーカーも、刺青も全て拒否することが出来たはず。



それをしなかったのは千花に覚悟があることを表している。



だけど、俺だって同じなんだよ。



いつか、千花が離れていくんじゃないかって…他にいい人見つけたからって……俺じゃない誰かを選ぶ事があるかもしれない。



そうなれば、必ず俺の手で殺してしまう。



だから、千花に関わる人間、それもお前を苦しめている人間は排除しねぇといけねぇんだよ。



もう少し…もう少しだから待っててくれ。



「叶斗様、早く終わらせてしまわないと千花様が危ないかと」



「…」



「私が見張っていても……同じようになるかと思います」



同じようになるって、お前が拒否ればいいだけだろ。



少し考えた後、朱羽に伝える。



「……明日、全て終わらせる。壮以外全員殺しとけ」



「かしこまりました」

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