第129話

『千花、お前もういらねぇわ』



『ぇ、』



『捨てねぇとか言ったけど、お前めんどくせぇし、ウザいからさ。金はいくらでもやるから別れてくんね?お前よりいい女沢山いるから』



叶斗?何言ってるの?



あんなに捨てない、独りにしないって…私を愛してるって言ってくれたのに。



『いや、いやッ……』






「…ハッ」



手を伸ばし、叶斗を掴もうとしたところで目が覚めた。



ゆ、め…?



「…大丈夫ですか?魘されていたようでしたが、」



横を向くと朱羽がいた。



私ベッドに…。



なんで隣に朱羽がいるの?



それに私抱きしめられてる、?



「しゅ、う…っ」



「はい」



「捨てないで…置いて、いかないでッ」



身体を朱羽の方へ向け、私は胸に収まる。



「はい…」



「朱羽は……朱羽は、そんな事しないよね?ずっとずっと…傍にいてくれる、よね?」



「えぇ、私は千花様のお傍にいます」



少しだけ私を抱きしめている腕に力が入ったのがわかった。



人の温もりに段々と眠くなり目をつむろうとした時、カチャ…と銃口が突き付けられた。



私に向けられたものだと思い、顔を上げると朱羽に銃口が向いていた。



言葉にしなくてもわかる、朱羽が危ない。



朱羽を守らないと、殺されちゃう。



まだ熱が下がった訳じゃないけど、身体を起こし、朱羽を守る。



だけど、それがいけなかった…否もう最初っから叶斗の機嫌は良くなかった。



思いっきり服の襟を掴まれ朱羽から離れ、吹っ飛ばされた。

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