第128話

「はぁ、はぁ、…っ」



苦しい苦しい…。



頭はうまく機能しないし、目眩もする。



廊下に出て、どこに向かうというのか。



階段の手すりに掴まり、1段ずつ降りていく。



半分くらいまで下がった時、バンッ!!も勢いよく扉が開く音がした。



声を聞かなくても朱羽だと分かる。



「千花様!お戻り下さい!」



私を部屋に連れ戻そうと支えられた腕に少し力を込められる。



「いや、戻…らない」



肩で息をして答える。



だけど、もう限界が近い。



視点が定まらない。



「私が、一緒に寝ると言えば戻りますか?」



朱羽が何を言ったのか、分からなかった。



いや、熱により頭が朦朧として言葉なんて入ってこなかった。



「千花、様…」



朱羽が私の名前を呼ぶが、答える気力がなかった。



私の意識は無くなった。



フラっと身体が前に倒れる。



「千花様!?」






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