第113話

「千花、お前のその目気に入らねぇんだよ」



そう言われて髪を掴まれ、グイッと強制的に顔を上げられた。



「…っ」



「ライターがいいか、バーナーがいいか、金属がいいか、選べ」



結局足の傷は処置されていない。



左足の感覚がおかしい。



今度はどこを焼くの?



何も答えないでいると、顔付近でバーナーを開けてきた。



「ひっ…」



もしかして、顔…?



それだけは嫌だ。



火傷の跡なんて叶斗が見たら…。



今出せる力を振り絞り、全力で否定する。



「お前に拒否権なんでねぇよ」



火が近づいてくる…嫌だ……嫌だ。



「やめてぇぇぇええええぇぇえ!!!」



私の声も虚しく、バーナーの熱を勢いよく私に浴びせる。



焼ける、焼けてる……熱いんだよ………。



「…っ、ぁぁ………、」



自然と涙がこぼれ落ちる。



その涙でさえ、左目から出る涙は皮膚を伝うため痛い。



こんな……こんな顔じゃ、叶斗に嫌われる。



事故なんて比じゃないくらい、私は醜くなった。



鏡を見なくても、私の左半身は酷い火傷を負った。



どうしたらいい?このまま壮と一緒にいた方が叶斗に嫌われない?



それでも、叶斗に助けて欲しいなんて我儘を言っていいのだろうか…。

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