第111話

千花side




もう、叫ぶ気力はなくなっていた。



何時間、何日過ぎたのかもわからない。



ここにどのくらい居るのだろう…。



ジジジ…と小さな金属で皮膚を焼かれる。



私はそれを見てるだけ。



やってる壮は愉しそう。



「千花は可愛いなぁ」



叶斗に言われたい。



壮に言われたことは初めてだ。



お前から振ったのに、私に男がいるとわかると戻そうとするのかよ…。



「けどなんで薬指ないんだ?」



左手に焼印を付けながら聞いてきた。



それは叶斗と私だけの誓い。



お前に教える義理はない。



「切り落とされたのか?」



無言の私に不機嫌になるかと思いきや、どうでもいいというような感じが伝わった。



「まぁ、指がなくてもいいけどな」



私を痛めつけることしか脳がないのかもしれない。



「今度はどこに付けて欲しい?背中は十分付けてるし、顔はバレるだろ?腹か?」



…もう好きにして。



「飽きたからまた明日な」



今日は機嫌が良かったみたい。



機嫌を損ねないように、なんて思っても壮と話す気すら起きないから、いつ機嫌が悪くなるか…。






早く、叶斗に会いたいよ………。

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